イケナイ王子様
な、なんとか危機を脱しなければ……!


そう思ったが、藤堂さんが突然、こんなことを言いだした。


「愛海ちゃんの付き添い?


そんなことしなくても大丈夫だよ。


あとで私が、洋季の婚約者として、愛海ちゃんを参加者全員に紹介するから。


愛海ちゃんを支える役割は、君じゃなくて、洋季なんだから」


「えっ……?」


翔さんの表情がますます険しくなる。


藤堂さん本人に悪意はないだろうけど、翔さんにとっては、衝撃的な言葉だったらしい。


険しい表情の中に、驚きが入り混じってるのが、その証拠だ。


そんな翔さんの気持ちを知ってか知らずか、洋季さんがなぜか勝ち誇った顔をする。


だけど、翔さんは、洋季さんの表情に気づかなくて。
< 207 / 623 >

この作品をシェア

pagetop