イケナイ王子様
その衝動をおさえ、階段に転がってる靴を拾いあげ、急いで階段を駆けあがる。


しかし、急いで階段を上ったせいで、早くも息があがってしまう。


「はぁ……っ、はぁ……っ」


い、息が、できない……。


早く上る必要なんてないのに、なんで早く上ったんだ、俺……。


呼吸を整えながら、階段をゆっくり上っていったそのとき。


女が階段を上った先で倒れているのが、視界に映った。


こ、こいつ……。


「はぁ……っ、ここにいたか……」


呼吸を整え終える前に、倒れてる女の横顔が見えた。


愛海だ。


しかも、足にはなにもはいてない。


俺が拾いあげた靴は、愛海の靴だったのか。


髪をくしゃっとかきむしったと同時に、空になったワイングラスを見つける。
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