イケナイ王子様
酔いつぶれた愛海を抱きあげ、階段を下り、会場に向かう。


ワイングラスは、藤堂か、藤堂の親父に言って、回収させるか。


今、両手がふさがってるし。


こいつの靴も、片手の指で持つのに精一杯だし。


ワイングラスなんて、持てる余裕ないし。


と思ってるうちに、会場内に到着した。


俺の再登場に、パーティーの参加者たちは驚きをあらわにしている。


驚きの原因は、俺が、酔っ払った愛海を抱きあげてるからだろう。


もちろん、藤堂親子も例外ではない。


「な……なにやってんだ……」


藤堂が、飛び出さんばかりに目を見開き、俺を見つめる。


「なにって?」


「なんでお前が、愛海ちゃんを抱きかかえてるんだ……」


藤堂のやつ、驚いてるだけじゃなく、動揺もしてるみたいだな。
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