イケナイ王子様
もしかしてこいつ、愛海のこと……。


「さっき、俺の父さんが言ったよな?


愛海ちゃんは俺が支えるって」


あぁ、なんか言ってたな。


でも、こいつは俺の彼女なんだ。


藤堂の支えなんて、1ミリもいらない。


「だから、愛海ちゃんから手を……」


「なぁ」


「な、なに?」


「……こいつ、階段で泥酔して寝てた。


俺、こいつを連れて帰るわ」


愛海から手を引け、なんて言わせない。


てか、それはこっちのセリフだし。


「な……っ」


藤堂のマヌケな顔が、俺の視界に映る。


愛海が酔っ払う前に見た、この男の余裕そうな顔に対するムカつきが、一気に吹き飛ぶ。


「な、なにを言ってるんだね、君は。


愛海ちゃんは、洋季の婚約者として紹介する予定なんだよ」
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