イケナイ王子様

☆☆☆

「あれ……?」


外に出て数分がたった。


高校時代の友達と会う約束をした、という翔さんの言葉が本当かどうか確認するため、翔さんをこっそり尾行している。


翔さんが出かけたあと、私はすぐに髪を整え、私服に着替えた。


そして、外に出て、今に至る。


しかし、私は思わず立ち止まってしまった。


だって、翔さんとついさっきすれ違った人物に、見覚えがあったから……。


あれは……。


「紀野(きの)くん……?」


ポツリとつぶやくと、向こうの人物も私に気づいたみたいで。


「えっ……?」


最初は、私が誰かを確認する素振りを見せなかったが、私が近づいたあと、やがて驚きの表情を見せた。


「あ、愛海ちゃん……⁉︎」


「ひさしぶり、紀野くん」
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