イケナイ王子様
やっぱり、紀野くんを警戒する必要はない。


いじめられてたから、誰かになぐさめてもらいたかっただけなんだよね。


自分が救われる方法を探してたんだよね。


だから、紀野くんは……。


「貴様、洋季様の邪魔をしたそうだな?」


ん?


誰だろう、この声……。


いったいなにが起きてるの?


声のしたほうに視線を向けると、そこにいたのは、黒いスーツを着た、背の高い男の人。


その男の人が、翔さんに突っかかってる。


えぇっ、翔さん、なにか問題起こしたの?


翔さんは非行に走る性格ではないと思うんだけどなぁ。


「はぁ?


なんのことですか?」


「洋季様が怒っていらっしゃったぞ。


なんでも、来栖川家のお嬢様に手を出して、洋季様の恋路の邪魔をしてるらしいじゃないか」
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