イケナイ王子様
私が、お手伝いさんとしてこの家に住んでいたとき、洗濯ものを干す仕事は、私がやっていた。


それだけじゃなく、家の中の掃除も、お風呂場の掃除も、私が担当していた。


だから、洗濯ものを干す仕事は、翔さんがやる必要はない。


「翔さんは、先に朝ご飯食べててください。


私が洗濯ものを干しますから」


洗濯かごには、たくさんの洗濯ものが入っている。


きっと、干す作業に取りかかったばかりなのだろう。


と思ったそのとき。


「やんなくていいよ」


へ……?


「やんなくていいよっていうのは……」


「洗濯ものを干す仕事は俺がやるから、あんたが先に朝ご飯食べてろよ」


「えっ……」


なんていい人……!


私、この人を好きになってよかった。
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