イケナイ王子様
自分の食べたいタイミングで、朝ご飯を作ればいいんじゃないの?


そう思いながら、ベランダをあとにしようとした。


しかし……。


グイッ。


体の向きを変え、キッチンに行こうとした私の腕を、翔さんが捕まえた。


男の人の力にかなうわけがなく、体がピタッと止まる。


「……あんた、今、なんつった?」


ドキッ。


さっきの私のつぶやきが、翔さんの耳に届いたようだ。


そのつぶやきは、翔さんが聞こえないように、小さい声でつぶやいたのに。


「な、なにも言ってないですよ……」


「嘘つけ。


あんた、なんか言っただろ」


うっ……。


すぐに嘘だとバレた……。


だったらニコニコスマイルで応戦だ!


笑顔だったら、翔さんに効果があるかもしれない!
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