イケナイ王子様
「あぁ……聞こえちゃったんですね。


聞かれないように小さな声で言ったんですけど……聞かれちゃったら、しょうがないですね」


「やっぱり、なんか言ってたんだ?」


「はい、言いました」


「ほー、なんて言ったんだよ」


「……翔さんは、私のことを気遣って、洗濯ものを干してくれてるんだなって」


翔さんの優しい気遣いに感謝してることは事実だけど、それは、さっきつぶやいた言葉じゃない。


『朝ご飯は自分で作ればいいじゃないか』


なんとなく、その言葉を翔さんに言いたくなかっただけ。


「ふーん」


あ、あれ?


意外とそっけない反応……。


もしかして、予想してた言葉とは全然違ってたから、つまんないって思ったのかな。
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