イケナイ王子様
ドキッ!


体が一瞬強張る。


ここにいる理由、紀野くんに言うべきかな。


それとも、言わないほうがいいかな。


「…………っ」


「愛海ちゃん?」


首をかしげる紀野くんの声に反応できない。


もし、本当のことを言ったら、あのメールの送り主になにかされるかもしれない。


そう考えたら、体が小刻みに震える。


私の異様な様子に、紀野くんが気づく。


「も、もしかして、なにかあったの?


俺以外の誰かに脅しをかけられてるとか」
< 430 / 623 >

この作品をシェア

pagetop