イケナイ王子様
譲れない気持ち
【翔side】
「ん……?」
なんだか嫌な予感がして、ふと顔をあげる。
壁にかけられた時計は、15時3分を示す。
べつになにか起こったわけでもないのに、激烈に嫌な予感がする。
さっきまで読んでいた本を閉じ、ソファから勢いよく立ちあがる。
「ん?」
そういえば、やけに静かだな……。
愛海、自分の部屋で寝てるのだろうか。
リビングで昼ご飯を食べたあと、愛海の姿は見ていない。
もしかして、あいつ……。