イケナイ王子様
これから翔さんが来てくれるという言葉で安心し、必死に我慢したんだ。


そのすぐあとに、翔さんが通話を切り、今にいたる。


「せっかく脅してやったのに、それがまったく効かないなんて……」


なにやら、ぶつぶつ文句を言う洋季さん。


今まで見てきた洋季さんとは、まったくの別人のようで。


少し身震いがする。


あんなの、私の知ってる洋季さんじゃない。


恐怖心でおののく私に、洋季さんが振り返って、ニコッと笑う。


「ねっ、愛海ちゃん?」
< 471 / 623 >

この作品をシェア

pagetop