イケナイ王子様
と、とりあえず、機嫌を直すことには成功したってことでいいのかな。


「あんたに叔母さんなんていたんだ」


「いますよ。


両親は事故死しちゃいましたけど、叔母さんはいますよ。


叔母さんは、私の唯一の親戚ですから」


「へぇ……」


なぜか目を細めて、意味深な表情を見せる翔さん。


私に叔母さんがいたことが、意外に感じたのかな。


私が、両親も親戚もいない、かわいそうな子だと思ったのだろうか。


「よ、よーし!


掃除をはじめちゃおうっと!」


叔母さんから、お見合いの話を聞かされたことを感じさせないために、家の掃除をはじめる。


「…………」


そんな私を見て、怪しむような目でじっと見つめる翔さん。


それに気づかないまま、掃除を続けた私。
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