イケナイ王子様
本当は違う。


本当は、私が来年で18歳になるから、そろそろ結婚相手を、お見合いで見つけないとって言われたんだけどね。


でも、それを言ったら、翔さんがさらに不機嫌になってしまう。


それだけはなんとか避けたい。


「へぇ、そうなんだ」


「はい。


叔母さん、ああ見えて心配性なので、たまに家にやってくるんです」


ニコッと微笑み、掃除を再開する。


チラッとうしろを見ると、翔さんは私から離れて、なにか考えごとをしていた。


叔母さんが心配性だってこと、嘘だと思ってるのかな……。


私、演技ヘタだったかな。


自分としては、なかなかの演技だったと思うんだけど。


そう思いながら、掃除機をかけていく。


「愛海、絶対なにか隠してるな……」


翔さんがそう言い放ったとも知らず……。
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