イケナイ王子様
そのぬくもりに酔いしれそうになる。


だが、その直後、洋季さんが再び笑った。


薄気味の悪い、意地悪な顔で。


な、なんか嫌な予感が……。


「証拠はあんのかよ」


口角を持ち上げた顔が、こちらをとらえる。


ゾッとして、翔さんにしがみつく。


私の震えに気づいた翔さんが、抱きしめる力を強くして、洋季さんを睨みつける。


「……あるっつったら?」


「それなら、おとなしく捕まるしかないね。


でも、証拠を提示しても、俺の悪事は、警察が消しちゃうだろうね」
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