イケナイ王子様
こ、怖い笑顔……。


余計に震えが止まらなくなる。


「ほら、出しなよ、証拠を。


警察がもみ消すであろう証拠をさぁ」


い、いや……。


洋季さんが、化けの皮をかぶった悪魔にしか見えない……。


コツ、と洋季さんが、こちらに一歩ずつ、近づいてくる。


さらに翔さんの抱きしめる力が強くなる。


「いや、証拠出す前に、愛海に謝れよ」


「ふっ。


てことは、証拠はないんだね?」


悪魔の微笑みを浮かべる洋季さんに対し、翔さんはなにも答えない。
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