イケナイ王子様
動揺する洋季さんをスルーして、警察官の人が、私に視線を移した。


「君、大丈夫だったかい?」


優しい眼差しが注がれる。


ようやく安心感に包まれる……。


「は、はい……」


安心したことで、体の震えがおさまる。


涙も、ポロポロとあふれだす。


「よしよし、つらかったね。


あとは、おじさんにまかせなさい」


ポンポン、と頭を優しく撫でられる。


お父さんにされてるみたいで、さらに涙がこぼれ落ちる。


私の頭を撫でたあと、警察官の人が、驚いた顔のままの洋季さんに向き直る。
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