イケナイ王子様
顔が強張ってる?


私が?


あれ……私、藤堂グループのご子息に会って話してみる価値はあるかもと思っていながら、初対面の人と会うのが怖いと思ってるのかな。


それとも、ストーカーのことがあったから我妻兄弟以外の男の人に恐怖心を抱いてるのかな。


どちらにしても、私が男の人に免疫がないのに変わりはない。


口をつぐんで黙っていると、叔母さんが私の肩を軽く叩いた。


「ま、大丈夫よ。


愛海ちゃんが、お見合い相手の男の子に恐怖を感じたら、私が助けてあげるから」


叔母さん……。


私が男の人に免疫がないの、わかってくれてるんだ……。


「とにかく、藤堂グループのご子息に失礼のないようにね」


「は、はい」


叔母さん、私のお母さんみたい。


そう思いながら、苦笑いを浮かべた。
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