イケナイ王子様
多少早口になってしまった叔母さんの口調に、気づかないフリをする。


「大丈夫ですよ、叔母さん。


髪は乱れてませんし、服装も乱れてませんよ」


叔母さんは、髪をひとつにまとめて、おしゃれなヘアクリップで留めている。


服装はフォーマルなスーツ。


誰がどう見ても、ビシッとしたキャリアウーマンに見えるはず。


私の目には、髪と服装が整った、大人の雰囲気を醸しだす女性に映っている。


心配しすぎだよ、叔母さん。


「あぁ、よかった〜。


もし、髪や服装が乱れたまま、藤堂グループのご当主の方やご子息の男の子の前に現れたら、変な目で見られるもんね。


愛海ちゃん、見てくれてありがとね」


「いえいえ」


髪型や服装の確認をしてもらっただけでお礼を言うのは、ちょっと大袈裟だと思う。
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