イケナイ王子様
……そんなことよりも。


「叔母さん、会場の中に入らなくてもいいんですか?」


旅館の前にずっと立ってたら、近くを歩いてる人に怪しまれると思うんだけど……。


なにかを思い出したかのような表情で、叔母さんがポンッと両手を叩く。


「あっ、そうね。


いつまでもここに立ってたら、近くを歩いてる人に不審がられるわね。


じゃあ、中に入ろうか」


「はい」


小股で歩く叔母さんのうしろを、私が追いかけるように歩く。


中に入り、叔母さんが受付の人にお見合いの話をすると、東側にある部屋を案内してくれた。


「それでは、どうぞごゆっくり」


礼儀正しいお辞儀をして、受付の人が去っていく。


ここが、お見合いをする場所なんだね。
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