イケナイ王子様
「どうも、はじめまして。


私、藤堂と申します。


よろしくお願いします」


礼儀正しい挨拶をするな、この男の人。


心の中でボソッとそうつぶやく。


「そしてこちらが、私の息子の洋季(ひろき)です」


えっ?


男の人の言葉で、ゆっくり顔をあげる。


いつの間にか、私の向かい側に、がっしりとした体格の男の子が座っていた。


私が目を伏せてる間に、この男の子が座ったのだろうか。


「ほら。


洋季、お前も挨拶しなさい」


「……わかった」


男の子が小さなため息をついたあと、私と叔母さんに自己紹介をする。


「はじめまして。


僕、藤堂洋季といいます。


よろしくお願いします」


その挨拶で、叔母さんは安心したみたいで。
< 66 / 623 >

この作品をシェア

pagetop