イケナイ王子様
彼の笑顔には、悪いことを考えているような雰囲気は見あたらない。


「ひ、洋季さん……」


「なに?」


「あ、あの……洋季さんは私以外の女の子と、こうやってお見合いをしたことはありますか?」


私みたいにお金持ちの家に生まれて、でも家もあって親もちゃんといる洋季さんなら、何度かお見合いをしている可能性がある。


そう思った。


しかし……。


「いや、今回がはじめてだよ。


父さんが、たくさんいる婚約者候補の中から、愛海ちゃんを選んだんだ。


愛海ちゃんなら、俺を支えてくれると思ったから、愛海ちゃんとのお見合いに反対しなかったよ」


えっ、そうなの?


藤堂さんが、数ある婚約者候補の中から私をお見合い相手として選んだの?


叔母さんはそんなことひとことも言ってなかったから、知らなかったよ。
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