ノクターン
26
翌日、私は昨日買ってもらった服を着て 松濤の家に行く。
「お兄様の赤ちゃん、何ていう名前?」
車の中で、智くんに聞く。
「樹木の樹と書いて、タツキ君。」
「男の子だね。可愛いでしょう。」
「俺が会った頃は、まだ小さかったから。親父もおふくろも、可愛がっているけどね。」
「初孫だもんね。」
そんなことを話していると あっと言う間に 松濤の家に着く。
「あら、麻有ちゃん、今日はまた可愛いわね。」
松濤に着いて 出迎えてくれたお母様に言われる。
「昨日、智くんに買って頂いたんです。」
と洋服を指して、私も答える。
「うん、すごく似合っているわ。さあ、どうぞ。上がって。」と導かれて。