屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜



「 ――― あれ…?ここ… 」




人影もまばらな細道


立ち止まったのは あずるの声と風




明けた先にあったのは
昼夜知らずなコンビニのあかりと
シャッターの降りた店舗達


小さな煉瓦色のビル脇に
地下へ続く階段があって


壁に掛かった、淡く光る看板と
端の削れたポスターだけが
それがどこへ続くかを示していた




「 先入ってろ
あ、オメエらこれ ――― 」


「 持ってるよ〜 」

「 も…持ってる!! 」

「 持ってるぞ 」




真木の呼びかけに
皆が取り出したのは、会員証

池上と、あずるは財布
俺は パスケースの奥から




真木は吹き出した後に ゲラゲラ笑って


「 オケオケ!

――… 馬鹿だよな、オメエらも 」




真木は煙草をくわえ
向かいのパーキングに走ると

車、後部座席から
黒いソフトケースを二つ提げ
そのうちの一つを 俺に渡す




「 ほれ、ベース 」


それは、オフに入り
メンテの為、事務所に預けてあった物


「 ―― ありがとう、真木 」


「 予約時間だ、とっとと入るぞ 」




パン と背中を叩かれ
一列になって 階段を降りた






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