屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜




暖房はあるが
スイッチは多分 切ったまま



五人篭ると、かなり狭い密室は
赤いランプの燈った、三台のアンプと
弾き続ける自身の熱で
すぐに手の平や首に 汗が滲む


それをゾクリと冷ます
あずるの透き通る声と、碧い視線


けれど歌詞は相変わらず
今歌いながら作っていて
曲調とそれが、かなりちぐはぐだ




その横でゴムをくわえ、髪を縛り
六弦を掻き鳴らし被さる 真木のシャウト




"真木が、真木である姿"を
久しぶりに目の前にして


興奮し、勢いに流されそうな俺を
笑うドラマー、池上海平の
規則正しいリズムが諌めた




―――― " 楽しいな "


公園の砂場で遊ぶ子供の様に


何も考えず
ただ単純に、その事実だけに浸る




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