屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜
「 忘れ物か 」
「 はい、ありました 」
「 なら良かった
ところで兄さんはもう、大丈夫なのか 」
「 … ? 」
何の事か判らず、一瞬考える
「 ――… 一度
あずるを捜しに、うちに来たろう
マサヤや馴染みも居た日で…
賑やかにやってた、その後位だったか…
頬こけてて、目の下に クマこさえて…
なんも食ってねえっていうし
飯食ってけって言ったら
『あずるが食べてないから』って…
さっきの、茶髪の兄さんが捜しに来て
引きずられて帰ってったろ 」
―――― 覚えていない ―――
「 …すみませんでした 」
「 ああああ、いいんだけどよ
なんだよ兄さん、腑に落ちない顔して
… あの頃、クスリでもやってたのか 」
「 ―― いえ 」
「 何があったか知らないが
もう平気ならいいんだよ
これ、荷物かもしれないが持ってけ
毎度代わり映えしないモンで悪いけど 」
手渡されたのは
ビニール袋に提げられた餃子
「 ―― 近くですから
ありがとうございます 」
「 なんだ
それならまた、食いに来いよ 」
「 はい 」
「 … しっかし 」