屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜



「 ようは、意識は戻っても
反応の無いアズルを心配したバーチャンが
広大な屋敷、お城の庭へ
サーカスを呼んだってワケなんだけどさ



その男に会って
アイツの写真を見せたよ
そしたら、こんな答が返って来た


『髪も腰まで延びていたし
こんな風には、一度も笑わなかったけど
俺達は一緒に、歌を唄ったんだ』




"アイツは絶対に
ローグウェルの屋敷に居る"――――


だけどそれが判って訪ねたトコで
そうカンタンに、会えるワケもねえ


そうやってオレがグダグタ
手を拱いてるうちに
バーチャン本人から連絡が来た




水谷がアズルと暮らしていたコト
事件当日、オレらと一緒に居たコトを
向こうは当然、知ってたし


『面倒臭えから、味方に引き入れちまえ』
そんな思惑だとは思うけど
とにかく、バーチャンにだけは会えた




んで、手紙のやり取りだけは
人を介して、許可を貰って ――


そして少しづつ
アズルのケガも快方に向かい
しかしこの最中にも
アズルの命を狙う一派は、手を緩めない


アメリカ中、何処を歩いても
城の中以外に 安全な場所は無い――


いっそ日本に行かせた方が
今の状態よりはマシって事で
ガードで手の回らない部分を
オレと会社が引き受ける


そういうコトで、話が決まった


これがここ数年間の
ずっと黙っていた、諸々の事情

他にも何か、質問あるか?

――― あっ!!
ボウズ、出てきやがった!! 」



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