屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜
"背の高い男"
そんな物は幾らでもいる
ただ
自分の記憶に無いだけで
俺が彼女を 殺しているとしたら ―――
――… 有り得ない事じゃない
叶った夢の
あまりの勢いに押し潰され
酔って、思う様母親を殴り付ける
そんな父親が毎回 繰り返す台詞は
『 覚えてない 』
そして顔を腫らした母親に
泣きながら謝罪と 愛の言葉を繰り返す
しかしふと居ないなと思うと
台所からは ウィスキーの臭い
そして
とっくに空になった空き瓶が割れる音と
居もしない、誰かへの悪態 ―――
俺は 奴の息子だ