屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜
灰谷の言うように
高い青空、快晴 ―――
「 … じゃあ、行って来ます 」
「 あ!私も下まで行く! 」
あずるの手には、ゴミ袋
「 俺が行くよ 貸せ 」
「 少ないし、平気だよ 」
「 お前はテレビで
いい結果の占い、探しておきなさい 」
「 えーーーっ?! 」
笑いながら煙草に火をつけ
腰のポケットから、屋上の鍵を出す
「 …青山さん、俺にも一本ちょうだい 」
灰谷に煙草とライターを渡し
扉を閉め、中階段を下りると
すぐにまた扉
「 …このライター光る 」
「 真木から貰った
欲しいならやるよ 」
「 … うん 」
これを開くと一見して
トイレの扉に見えなくもない場所から
忽然と、事務所風の一室に出る
元々、竹田さんが若い頃
隠れ家として使っていた場所だから
少し変わった作りになっていた
エレベーターに乗って一階
雑居ビル地区
周りも全て、マンションや小さな建物
空には黒い電線が
絡まる様に続いている
「 …ねぇ、青山さん 」
「 ん? 」
「 …貴方がアズを好きになったのは
なにがキッカケだったの? 」