屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜





屋上に至る 扉の鍵は
空を切り取り 既に開いていた







「 ――― やあ デクノボウ 」



「 青山く… 」




真正面


張り巡らされた金網


床に散らばる鞄と包帯
キャップが外れたままの
赤いスプレー缶




洗濯物を干していた 細いロープで
がんじがらめに張り付けされ
苦しそうに呻いている 梅川さんの姿




その横で こちらに背を向け


足元に群れる鳩達に 餌を撒きながら
白衣姿で立っているのは ―――





「 楽園に
蛇でも迷い込んで来た様な顔してるね


けどさあ…
ルウを愛している
全ての者にしてみたら
邪魔な蛇は、お前の方なんだよ?
青山 」




「 … 遥人…!先生を離せ!」






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