屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜
「 ――… あの拳銃は
梅川さんの物だったんですか? 」
「 出処は知らんがね
それで一晩中あちらこちら
逃げ込みそうな場所、虱潰しに
人を出して捜し回ってたんだが…
昔の絡みで
足、向けづらい所もあってな
ほとほと困って ―――
時間的には朝方だったか
竹田が一本、誰かに電話入れてさ
――― そしたら…
梅川の奴は、ずっと二人のところ
青山君とあずるちゃんの所に
泊まってたみたいだなって
なんだそりゃあって、本気で驚いたよ
そもそも考えてみな
幾ら親しい間柄とはいえ
"新婚さん同然の若い子ん家に
家庭も仕事も、全てほっぽらかして
ずっと入り浸りのおじさん"
奇妙な話だろう?
連絡もついてないのに
失礼かと思ったんだが
――― 何しろ、モノがモノだしな
梅川が、何考えてるかも判らないし
逃げ込む先が無くなったら
ここに来るかもしれないって
急いでこっちに向かって来たんだ 」
「 水谷と…竹田さんは
知り合いだったんですね 」
「 ミズタニってのは
拳銃、取り上げてくれた男か?
俺はその辺も、よく知らないんだよ
でも朝方
竹田が連絡したのは、彼にだと思う
――― さ
俺が知ってるのは、これくらいだ
茶も馳走になったし、お暇するわ
青山君も、少し眠れよ?
下にいるから、何かあったら声かけてな 」
「 ありがとうございます 」