屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜
「 ―― お味噌汁 作ってくるね 」
カシャカシャと鍋を用意し
台所に立つ姿は、まだ寝巻のまま
長い髪は、頭の上で巻き
ひとつにまとめている
「 エプロン使え 濡れる 」
「 … リュウジが興奮するからダメー 」
「 … 火使ってるのにそんな事しないぞ 」
「 ほんと?」
「 それに買ったの違う奴だろ 」
「 うひひー
じゃー しようっと!」
袋を開け、パッと拡げると
背中、腰の辺りに腕をまわす
「 見て見て!似合う? 」
「 可愛い 」
笑うあずるがかけているのは
青い デニム生地のエプロン
雑貨店で、左手に持っていた奴だ
右に持っていた奴は
薄手にフリル、色は白で
男としては
かなり夢が拡がるデザインだったけど
丈夫さと、洗い易さをとった
それにあずるは、青が似合う
「 … ユカちゃんの事
聞こうと思ってたんだけどなぁ… 」