屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜



「 水族館でか? 」


「 うん…
トオヤ… なんか急に
大人っぽくなったっていうか
無理してる気がして… 」


「 … あいつは昔から大人だよ 」


「 そうかなぁ?
そうかもしれないけど… 」




「 …他人が入ると、こじれる事もある
相談されるまでは放っておけ 」

「 …うん あ 」


「 どうした? 」


「 ん なんでもない 」


「 ―――… 指切ったか 見せろ 」


急いで立ち上がり、あずるの手を掴んだ


「 あ…! 違うの!
一個、タマゴ割ったら…」



まな板の上には、殻がひとつ


綺麗な指先が示しているのは
ボールの中に、 二つの黄身 ―――


「 あーあー
目玉焼きにして見せようと思ったのにー 」




ホッとして笑いながら
あずるの肩を抱く


「 …焼いたらわからないだろ 」


「 えー わかるよー 」



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