屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜




「 じゃあ皆、僕はここで! 」


全員コートを羽織り
雑居ビル街の細道を歩いて
駅前のロータリーまで来た時

それまであずると話していた梅川さんが
突然、足を留めた




「 あれ…先生? 」


「 ちょっと用事を思い出してね
駅まで来たついでに
診療所の方に寄るよ 」


「 後で来れるの? それなら待ってる 」


「 う〜ん、まだわからないんだなぁ
朝までパーティーはやっているの? 」


「 夜通しやるよーって言ってた 」


「 そうかぁ
行ける様なら、電話を入れるよ
僕の事は気にせず、楽しんで来て 」


「 ――…
わかった!気をつけてね!」


「 ありがとう、あずるちゃん 」




改札前で手を振って
雑踏の中に進んで行く、後ろ姿を追うと


―― 柱の影

竹田さんの周囲に控える雰囲気を持つ男と
何事かを話しながら、合流したのが見えた




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