キスして、ねぇダーリン?
ヘタレ彼氏はやっと動く
最近は恒例となった週末デート。
学生と社会人の私たちは、平日にはなかなか時間が合わない。
なので、土曜の昼前に会いランチを食べて買い物した後、孝明さんのお部屋でゆっくり映画を見て、その後は夕飯を二人で作って食べる。
そうして夕飯が済み、少し休むと部屋まで送り帰される。
そんな週末を過ごして早くも四回目。
プライベート空間に入れてくれるのに、触れてはくれない。
そんなもどかしさを感じてしまう。
今日も楽しく一緒に料理をして食べて片付けたあとのお茶タイムだ。
これが終われば、今日もまた自分の部屋まで送られてしまう。
聞くならば今しかない。
「孝明さん、ちょっと聞いてもいい?」
「なにかあった?」
孝明さんは、普段通りの穏やかなまま。
私は視線を合わせた後に気恥しさから少し俯くと、勢いよ!と内心で己を鼓舞して話した。
「私は孝明さんが初めての彼氏でお付き合いも初めてだから、分かってないところもあると思う。でも、私は孝明さんに触れたいし触れられたいと思ってる。なにも無いのは、私には魅力がないから? それとも私ほど、孝明さんは私を好きじゃないから?」
勢いに任せたものの、内容が内容なだけに顔を上げることが出来ない。
でも、私にはスマートな聞き方なんて分からないし、大人だから察しましょう?なんて無理だ。
聞かなきゃ分からないことは聞くに限る。
それでも恥ずかしさはあるわけで、顔をあげられないままでいると、隣の孝明さんからは少し息を飲む気配がした。
そして、動いたと思った時には私は初めて抱きしめられていた。
「ごめん!菜々美ちゃんに言わせるなんて……。俺、歳上の癖にどんだけヘタレなんだろ」
後半は自嘲気味な声の雰囲気に、私伺うように顔をあげようとして、ギュッと強く抱きしめられて、動きを止められる。