密室でふたり、イケナイコト。


「え…?今、中から声しなかった?」


「俺も…けど、誰もいねーよ?」


「…………」


「…………」


「違うとこ、行こうぜ……」


「そ、そうしよう……」



やけに怯えるような声が聞こえた直後、ものすごいスピードで遠ざかっていく足音と話し声。


あ、完全に勘違いされちゃった……

たぶん、幽霊か何かだと思われたなぁ、あれは。



まあ、いいか。

とにかく、どっか行ってくれて良かった……


ホッと息をついてすぐ、わたしは今の体勢にハッとして、慌てて教卓から出る。


「さっきなんであんなことしたの!!?」


人がいるって思われなかったから良かったものの、もし気づかれたら…なんて想像もしたくない。

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