密室でふたり、イケナイコト。


「可愛くてたまらない彼女が目の前にいんのに、手出さないとか無理」


恥ずかしいことも、無表情でさらっと言ってのけるこの男。


最近よく思う。

真面目な話、成宮別人説あるんじゃないかって。



冗談だけど。

いや、半分本気。



だからって、あれはもう……

はぁ……なんか怒る気も失せた。



「け、けど……っ、隠れること、なかったんじゃない?」


話を逸らしたくて、心にも思ってもないことを口にするわたし。


よく言うよ……力が抜けてたの自分のくせに。

素直にありがとうって言えばいいものを、こんなふうに返しちゃうなんて。


「いいの?
お前、アイツらが来る前、どんな顔してたと思う?」


目を細めて笑うその顔は全てお見通しかのように、意地悪そうで。


「どんな顔って…」


「今にもとろけそうな顔」

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