密室でふたり、イケナイコト。



「じゃ、帰るぞ」


「ほーい」


雲行きが怪しくなってきたということで、まだ5時前だけど、帰ることにした。


「成宮、傘ある?」


「いや、晴れって言ってたから持ってきてない」


「ですよねー」



実を言うところ、わたしも持ってきてない。


朝の天気予報で、降水確率20%くらいだったもんね。


準備がいい女子だったら、折りたたみとかも常備してるのかもしれないけど…

情けないことに、それにわたしは当てはまらない。


「駅まではなんとか持ちそうだけど、その後が問題かもな……」


「そうだね。
とりあえず、早く駅行こ」


そんな会話をしつつ、校門を出た。


離れんなよってお咎めがあるから、さすがに一緒に帰ることは断らない。


けれど、成宮のことしか考えられないことに気づいたわたしは、それがバレないように振る舞うのに必死だった。

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