密室でふたり、イケナイコト。

わたしでさえ、尊人さんに聞くまで成宮の体調のことを知らなかったのに、どうして春名ちゃんが……?

もしかして成宮が自分から連絡、したとか……?

途端に嫌な考えが頭をよぎっていく。


で、でも2人は小学校の時からの友達だって言ってたし、家にいてもおかしくないし……

頭をブンブンと横に振って、バレないように、そっと2人の様子をうかがった。

もう夜に近い時間とあって、小声で話しているようで、ここからじゃその内容までは分からない。

暗くて成宮が今どんな顔をしてるのかは分からないけど、春名ちゃんは始終楽しそうな雰囲気で、

その立ち位置がとてもしっくりきているように見えて、

改めて、自分が情けなくなってくる。


こんなとこで何やってるんだろう、わたし……

彼女なんだから、堂々としてればいいのに。


「体調、どう?少しでもよくなった?

なんで春名ちゃんがここにいるの?」


そうやって、声をかけに行けばいいのに。

気になるなら、自分から聞きに行けばいいのに。

さっきまで意気込んでたくせに、また、うじうじ弱気になって。


春名ちゃんが帰った後で、ドアにこの袋だけかけて帰ろうかな……


なんて、甘いことを考えた瞬間────。

「っ……!!」


追い打ちをかけるように目に入ってきた光景に、頭が真っ白になった。

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