密室でふたり、イケナイコト。
とっくに気づいてたはずなのに、生まれて初めてのその感情に、ただ意地張って逃げていただけだなんて。



ぜんぶ、全部……



成宮のことが好きだから。


わたしは成宮に、恋をしているんだ。




「はあ、はあっ……」

駅の近くの、人気がないところまで来たところで、ひざから崩れ落ちるように力が抜けて、ずるずるとその場にしゃがみこんだ。

絶対、呆れられたよね。

愛想、つかされた?

成宮は、春名ちゃんといるほうが楽しいのかな。


そんな考えが頭に浮かんで、どうしようもなく涙がとまらなくて。

ポタポタと、コンクリートを濡らしていく。


気づくのが、遅すぎた。

ほんと、バカだなわたし。

侑に言われたとおり、頭の中お花畑だったなぁ……、


ははっ、自業自得じゃん……


それからしゃがみこんで顔を伏せたまま、周りが暗くなっていくのも忘れてずっと泣いていた。

< 262 / 380 >

この作品をシェア

pagetop