密室でふたり、イケナイコト。
「え……?」


その言葉に頭から水をかけられたように、固まってしまう。

今、なんて……?

泊、まった……?

春名ちゃんは髪を指にクルクルと巻き付けながら、ほんのり顔を赤く染めながら、わたしの前に立った。

「瑞稀の家の人、皆海外で。
それで、看病するためにね?一昨日の夜に。
そしたら、瑞稀ってば熱のせいかやけに素直で、好き放題してきて、ほんと困っちゃった」

「………」


素直?

好き放題?

春名ちゃんはなに、言ってるの?


ドクドクと心臓が嫌な音を立てて、頭の中で響いている。

早く、帰らなきゃ。

春名ちゃんの言葉なんか、聞きたくない。

成宮の言葉を信じよう。


そう思うのに、足が動かない……

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