密室でふたり、イケナイコト。
◆驚きのコクハク
「そ、それで…その、特訓って言うのは?」
ファンであることがバレたショックが大きすぎて、フラフラと椅子に腰かけると、成宮も近くに座った。
こっちは色々手いっぱいだってのに、涼しげな顔して。
いつの間に戻ったの?
さっきの笑顔とか、幻覚だったんじゃないの?って思うくらい。
「仕事のことなんだけど」
へぇ、意外…
成宮に仕事の相談を持ちかけられるのは初めてだし、
いつもそつなく、スマートにこなしてるから、悩みなんて1つもないと思ってた。
成宮も普通の人間だったんだ…
仕方ない。
めちゃめちゃ上から目線だけど、今は自分のことより、こっちを優先しよう。
ここに来た目的をすっかり忘れたまま、わたしは真剣に耳を傾ける。