世界No.1の総長と一輪の花 エイプリルフール特別編
早い…!!というか早すぎる…!!
こういう時、自分の体力のなさを恨むや…
私が全速力で階段をおりても、どんどん距離を詰められていく。
ここで諦めるわけにはいかないのに……
この嘘は前々から考えていたもので、絶対詩優を嘘にひっかけて驚かそうと思っていた。
それに、嘘をつくために京子や明日葉と美容院に行く約束をわざわざ4月1日にしてもらったから…
なんとか詩優を撒かなくては…!!!!!
とは思っても体力の差は歴然。
パシッと腕を掴まれて、引き止められてしまった。
「…っ」
後ろを振り向けないでいたら、詩優は私の腕を掴んだまま一歩、二歩、三歩…と私の前に来て歩いていく。
私も詩優のあとについていくように数歩足を動かすと、目の前の彼が立ち止まったのは階段の踊り場。
急に詩優が近づいてきて、途端に私を壁に押しつけて。ぐいっと顎を持ち上げられ…
詩優と目が合った。