ゆうかユスリカ
「よう、シオン。
後輩と仲良くしてっか?」
「そうですね、2人ともいい子ですし。
丁度文化祭で販売する小説についての話をしてたんです」
「そうかそうか。
去年みたいに締め切りに追われることもないだろうし、そこのところは安心だな」
「本当に珍しいですね、きちんと約束通り中等部の文芸部を覗きに来てくださるなんて。
待って正解でした」
「おいおい、何かの皮肉か?
しょうがないだろ、高校の文芸部は人数がそこそこいるからな」
キイ先生は、俺とゆうかを見てどこか満足げな表情を浮かべる。
入部届を出した時にも思ったが、どこか大人で気だるい雰囲気を醸し出しているため、物腰の柔らかいシオン先輩と話しているときは、RPGみたいに2次元的な要素を感じさせる。
そしてキイ先生は近くに置いてある椅子にドカッと座り、企画書と思われしプリントを机に広げていく。
プリントの内容は、題名・あらすじ・キャッチコピー・1章からのプロット内容・キャラクター設定など、シナリオを書く上で基盤となる要素がズラリと書き記されている。
「1年2人は、もうシオンから文化祭のことについて聞いてるよな?
ご存知の通り、うちの文芸部は文化祭に小説を販売することによって、活動利益を出しているんだ。
これがまあ、よく売れる。
去年の《彼岸帰り》も、あんなに刷ったのに、跡形もなく無くなった。
でも、一応販売するとなると、不適切な表現であったりは避けなきゃなんねェんだわ。
そのプリントにある通り、項目を書いて埋めて、俺にOKが貰えたら執筆開始って訳」
「なるほど……ちなみにこのプリント自体の締め切りはいつまでですか?」
「あー、そうだな。
まあ、現実的に考えて2、3週間後とかがベストかもな。
まずプロットが難関だし、調べものもあるだろうからよ」
「7月になると期末試験もありますし、6月中に終わらせるっていうプランですね。
ジャンルは決まりましたから、3人で考えてみます。
プリントも受け取りましたし、高校の文芸部の様子を見に行ってはいかがですか?」
「タマキは相変わらず先生に厳しいねェ~。
せっかく来たんだから1年2人と絡ませてくれよ。
それとも何、先生がほったらかしにしたの恨んでるわけ?」
「……そんな訳無いじゃないですか。
締め切りに間に合わせるために、早く3人で話し合いたいだけですよ。
決してそんな子供じみた感情なんて抱いていません」
キイ先生を見つめるシオン先輩の瞳が、まるで獣を狩るかのように、強くぎらつく。
犬猿の仲と呼ぶべきなのか、いやキイ先生はそこまで気にしてはいけないのだろうけど、シオン先輩が先生のことを嫌っているのは言動を見て理解した。
後輩と仲良くしてっか?」
「そうですね、2人ともいい子ですし。
丁度文化祭で販売する小説についての話をしてたんです」
「そうかそうか。
去年みたいに締め切りに追われることもないだろうし、そこのところは安心だな」
「本当に珍しいですね、きちんと約束通り中等部の文芸部を覗きに来てくださるなんて。
待って正解でした」
「おいおい、何かの皮肉か?
しょうがないだろ、高校の文芸部は人数がそこそこいるからな」
キイ先生は、俺とゆうかを見てどこか満足げな表情を浮かべる。
入部届を出した時にも思ったが、どこか大人で気だるい雰囲気を醸し出しているため、物腰の柔らかいシオン先輩と話しているときは、RPGみたいに2次元的な要素を感じさせる。
そしてキイ先生は近くに置いてある椅子にドカッと座り、企画書と思われしプリントを机に広げていく。
プリントの内容は、題名・あらすじ・キャッチコピー・1章からのプロット内容・キャラクター設定など、シナリオを書く上で基盤となる要素がズラリと書き記されている。
「1年2人は、もうシオンから文化祭のことについて聞いてるよな?
ご存知の通り、うちの文芸部は文化祭に小説を販売することによって、活動利益を出しているんだ。
これがまあ、よく売れる。
去年の《彼岸帰り》も、あんなに刷ったのに、跡形もなく無くなった。
でも、一応販売するとなると、不適切な表現であったりは避けなきゃなんねェんだわ。
そのプリントにある通り、項目を書いて埋めて、俺にOKが貰えたら執筆開始って訳」
「なるほど……ちなみにこのプリント自体の締め切りはいつまでですか?」
「あー、そうだな。
まあ、現実的に考えて2、3週間後とかがベストかもな。
まずプロットが難関だし、調べものもあるだろうからよ」
「7月になると期末試験もありますし、6月中に終わらせるっていうプランですね。
ジャンルは決まりましたから、3人で考えてみます。
プリントも受け取りましたし、高校の文芸部の様子を見に行ってはいかがですか?」
「タマキは相変わらず先生に厳しいねェ~。
せっかく来たんだから1年2人と絡ませてくれよ。
それとも何、先生がほったらかしにしたの恨んでるわけ?」
「……そんな訳無いじゃないですか。
締め切りに間に合わせるために、早く3人で話し合いたいだけですよ。
決してそんな子供じみた感情なんて抱いていません」
キイ先生を見つめるシオン先輩の瞳が、まるで獣を狩るかのように、強くぎらつく。
犬猿の仲と呼ぶべきなのか、いやキイ先生はそこまで気にしてはいけないのだろうけど、シオン先輩が先生のことを嫌っているのは言動を見て理解した。