涙の数だけ



『新垣!ちょっと来い』

問題は突然降ってきた。


夕飯の席で新垣の班の女子が2人いないことに気がついた。


「洋子とマリのことですよね?」

さすが新垣。
よく分かってるじゃないか。

夕飯の席にいない2人とは三木と美輪 マリ(ミワ マリ)


「泣いてます、今。

岡田先生が慰めてくれてて…」


少し意外だった。

こういうのは新垣が慰めるものだとばかり思っていたから。


「最初はあたしが慰めてたんですけどね…

岡田先生にご飯食べてらっしゃい、
って怒られちゃいました」

え…?俺、今口に出してないよな?

まさか、俺の心の中見透かした…??


『そうか。原因はなんだ?』

なるべく平然を装う。

内心は悔しくて仕方なかったけど。


「それがよく分かんないんですよね…」


はぁ~と、溜め息をつく新垣は絶対13、14歳じゃないだろう。

なんてバカげたことを考えてみる。


それから席に戻った新垣は机の周りをうろちょろして、
みんなの世話をする。


箸配ってみたり

配膳してみたり

ボケたヤツ相手にツッコんでみたり。



ただ、その表情は今までに見たことのないもので。

言葉には言い表せない何かがあった。



でもそのことには誰も気づいてなくて。

俺はお得意の見て見ぬフリをする。










< 12 / 38 >

この作品をシェア

pagetop