涙の数だけ
『あ、お疲れ様です』
新垣たちが帰ったあとすぐに、岡田先生がご飯を食べに来た。
「修羅場…修羅場がやってきます」
それだけ言った岡田先生はよほどお腹がすいていたのか飯にがっつく。
あぁ…せっかくの美貌が台無しだ。
「あーおいしかった!!」
どうしてこうもテンションが高いんだ。
開き直り、ってヤツ??
『さっきの話の続きは教えていただけませんか??』
そう声をかけると思い出したような顔をする岡田先生。
って、忘れてたのか?
「美輪は問題ないです。
ただ、三木は別ですね…」
そう言ってコップの水を揺らす岡田先生。
俺の目には言うことを躊躇っているように見えた。
「自分が悪いのも分かってて。
それでも直せなくて。
結果的にみんなに溝を作られた、みたいな」
俺にはこれだけの説明で十分だった。
そうか。山登りの俺の勘は正解か。
勘のいい紗智の傍にいたから
俺も知らぬ間に勘が冴えるようになっていたのかもしれない。
「今からゆずの班、集めます。
で、ちょっと私が話をします。」
岡田先生は立ち上がり足早に大広間を出て行く。
大変そうだな、岡田先生も。
なんて考えながら俺は男子の部屋が並ぶ3階の廊下を見回る。