涙の数だけ





『どうした?』



そう俺が問いかけると


「…だい…じょうぶ…です」


指で涙を拭う新垣は声をつまらせながら大丈夫だと言う。



『何が大丈夫なんだ?

お前は大丈夫じゃないときに大丈夫って言ってる』


お前は何も知らないと思っているだろう。

でも俺は、新垣が思ってる以上にお前を見ている。



俺の言葉を聞いた新垣は壁に頭をつけ泣き出した。

こんなにか弱く泣く新垣を俺は初めて見た。


でもすぐに顔を上げる。

弱かったのはどうやら一瞬だけらしい。


「………もう、大丈夫です」

今度は言葉をつまらせなかった。


コイツ…やっぱり強い。

でも俺はこれ以上、我慢する必要はないと思う。



そう思ったから


『泣くのを我慢するな

今泣かずにいつ泣くんだ』

と、言った。


あぁ…この言葉は前に新垣が友だちに言っていた言葉だ。

なんて頭の隅で考える






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