涙の数だけ
俺はそんな新垣を呼び止めた。
振り向いた新垣の目にはもう涙は浮かんでいなかった。
『社会に出ればイヤな人とも付き合わなくちゃいけないときがある。
我慢しなくちゃいけないときも…あるんだ。
だから三木のことも…「先生」
新垣は俺の言葉を遮る
「あたし、大丈夫ですから
本当に…もう、割り切れましたから」
そう言って新垣はまた、俺に背を向けた。
あぁ行ってしまった。
俺も時計を見た。
って、これから班長会じゃないか。
このまま班長会に参加しよう。
俺はトイレに立ち寄って目を見る。
うん、きっと大丈夫。
これくらいならバレないな。
ま、少し目が赤かったが気にしない。
新垣は来ないだろうな。
そう、思っていたのに。
班長会の会場、ロビーに行くと
『…………新垣』
がいた