涙の数だけ
「ゆずちゃん、すごくいい子じゃない。」
電話の向こうの紗智はなぜかご機嫌で。
「大丈夫よ、ゆずちゃんは。
もう、ホントに大丈夫。
あの子がどんなことに悩み、苦しんでたのか分かったから。
詳しくは帰ってきたら話すわ」
そう言って電話は切れる。
首を傾げていると視界に入った時計。
あぁそろそろ職員会議の時間だ。
ロビーへ行くと疲れ切ったような岡田先生がいて。
『お疲れ様です』
と、声をかける。
「あぁ…岩村先生
ゆず…あの子は一体何者なんですかね??」
『何かあったんですか??』
そう俺が聞くと岡田先生は苦笑いを浮かべ
「部屋で笑っているんです。
三木にも、誰にでも。
岩村先生…どんなことをゆずに言ったんですか??」
俺は首を横に振る。
『俺は何も言ってないです。
アイツは自分ですべて解決したんです。』
紗智が何かを言ったかもしれない。
でもきっと、アイツは紗智がいなくたって笑っていた。
俺は…そう、思う。
「新垣ゆず…ですか…」
岡田先生は首を横に振る
それはもう何がなんだか分からない、と言っているようで。
2人してはぁ~と、大きな溜め息をついた。