涙の数だけ
ホントウハ
「ゆずちゃんのこと…好きなんでしょ?」
突然のその言葉に俺はお茶を吹き出しそうになる。
何を言ってるんだ…紗智は。
『バカなこと言うなよ』
ただ、紗智には俺のウソは通用しない。
今までだって俺のウソは見破られてきた。
「ま、いいわ
雄志はああいう子に弱いこと、私は知ってるから」
ふと、思った。
紗智と新垣はどこか似ている。
「ゆずちゃんは…弱い子だわ
けど、それ以上に秘めた強さを持ってる
自分の弱さを隠すことのできる鎧のような強さ。
野外学習でその鎧がほんの少しだけ剥がれた。
でもあの子はもう、繕った。」
鎧…紗智の表現は当たっている
その通りだ。
アイツはものすごく分厚く、重い鎧をいつも身にまとっていた。
そのせいで新垣の弱さに誰も気づいてやれなかったんだ。